東京オペラシティアートギャラリー PRIME:記憶された色と形

東京オペラシティアートギャラリー PRIME:記憶された色と形

2000年6月20日に見ました。西新宿、初台にある美術館「東京オペラシティ アートギャラリー」
「PRIMEとは「物事の根元」や、そのものが「最も輝きを放っている状態」を示す言葉である。今回の展示会では美術のプライム的要素である色や形、サイズといった造形的な観点から現代美術を見直す事をコンセプトとしている。

現代美術は全体的な方向性を失いつつある。アーティストたちの弛まない芸術の追求により、難解な表現のものが多くなった。その勢いが魅力でもあるのだが、人々に作者の意図が伝わらなくては意味を持たない。見た人たちが何かを感じ、考えることができた時に初めて芸術として成り立つのではないか。

今回の展示では床や壁、天井に至るまで白で統一されていた。展示室に足を踏み入れた途端、形容しがたい雰囲気が自分を包んだ。色をもたない空間。その中で浮かび上がる巨大な黄色いシート状の物体。極めてシンプルなその形状はまさに色と形、物体としての存在を全面に出していた。その巨大な物体を前に立ち尽した。長くそれを見てい ると有色と無色、白と黄色、どちらが無色なのか、どちらが現実なのか、2つとも違うのか、今まで迷うこともなかった疑問が波の如く押し寄せる。我々の意識の範囲。白から黒。赤から青。意識の限界はそうではなかった。物から物へ、白から白への旅。こんなにも色と形というものは衝撃的なものなのか。ただ2つの色、白と黄色によりオレは 現実と非現実空間の境を見た。その時自分は何色だったのか。

草花をオイルパステルにより描いた色彩豊かな絵画があった。非常に美しく、草花を想う作者の暖かみがより一層キャンバスに深みを与えていた。どれも道端に生えている草木を描いている。何気ない、誰も普段気にもとめない自然の美しさ、この小さな美しさは自然というプライム的な魅力である。

現代美術。自分勝手に表現された一方通行の芸術は美術としては完成しているが、芸術としては未熟である。その表現が間接的であろうと直接的であろうと作者の意図が伝わった時に糊しろを残したアートは完成に至る。時代ととも動き出す芸術。現代では新たな芸術スタイルが生まれる時期に来ている。絵が上手いから芸術、才能があるから芸術 、そのような古典的な芸術の定義の時代は終わった。美術自体の表現方法の変化。現代にある絵画や彫刻などとはまた違った形、人の心の中に創造される新しい芸術。一つの作品から人々が感じ、考え、対話を行うことが新たな芸術のあり方であると感じた。記憶の色と形。今回の展示会では美術においての色と形、サイズという根本的なものの美しさを改めて感じることができた。