夏だ。冷奴(ひややっこ)の魅力と食べ方

とにかく、夏になると、うまく感じられる、冷奴(ひややっこ)。季節ものですね。

冷奴(ひややっこ)の食べ方

冷奴(ひややっこ)は絹がいい。そして、具はいらない。舞台の主役は冷奴(ひややっこ)だけでいい。カンナで削った鰹節も鮮やかな緑の万能ネギも要らない。塩辛さの引き締まった醤油とふっくらあったかのご飯だけが欲しい。

冷奴と相性のいい箸

冷奴を食べるなら、木目の粗い箸がいい。少し大きめの箸。なんなら、割り箸でもいい。

理由は単純で、しょうゆを流し込む道を作るためだ。

冷奴を擬人化してみた

木目の粗い箸を冷奴の白く柔らかい肌へ走らせると、冷奴はわずかに波打つ。その仕草はまるで食されることの恐怖を僕に訴えかけているよう。だが気にすることなく、僕は冷奴の心臓目がけて、ゆっくりゆっくり箸を下ろしていく。わずかな力で徐々に裂けていく冷奴。恐怖に怯えていた姿とはうって変わって、割られた冷奴は堂々とその中身を僕の前にさらけ出す。

冷奴にかけるものは醤油?

数滴。ここで醤油を数滴垂らす。これ以上割れては可哀想なので、冷奴を大事に箸に乗せる。震える手で僕の中へと運ぶ。まずは唇で確認する、大いなる大地が生んだ優しい大豆の味を。次の瞬間には、舌が醤油特有の甘さと冷奴自体が持っている甘さを受け入れる。この二つの甘さが互いを牽制しつつ、僕の中で「美味」を主張する。一口目の冷や奴を堪能した後は、ふっくらあったかご飯とのハーモニーだ。さっきまでの二つの甘さに加えて、ご飯の素朴な甘さが加わってくる。さらに、唾液の甘さが利子のようについてくる。そう、僕は四つの甘さを甘受するのだ。

冷奴。それは僕をこれ以上なく甘くさせる。