マーケティングゲーム-世界的優良企業に学ぶ勝つための原則

マーケティングゲーム-世界的優良企業に学ぶ勝つための原則
エリック シュルツ (著)

今まで実践的なマーケティング書というものをきちんと読んだことがなかった。僕は業務を通して、体でマーケティングを学んできたからだ。もちろん、それでいいと思っていたわけではない。早く良い本に出会いたいと思っていた。その思いは、今回、「マーケティング・ゲーム」という書物にあたり、見事にその思いがかなったような気がした。

この本のすばらしいと感じた点は、ミッションステートメントの策定について、膨大な説明をしている点だ。ミッションステートメント、ひいては情報の共有化・意識の統合化、ナレッジマネジメントに対する思いが強いし、とてもきめ細かい。僕が学びたかったこと、大切だと常日頃から感じていたところ。はっきりと、それを証明してくれている。いわゆる、マーケティングという語句の学問的な説明から書物を書くのではない。とにかく企業がマーケティング戦略を策定するために1、2を争うくらいに大切な事項から書かれている。それが一番すばらしいと感じた点だ。

また、どの本よりも具体的でわかりやすい。他のマーケティング関連の書物は「納得できるような便益を説明しなさい」とか「より消費者にイメージしやすく展開しなさい」などと書かれている割には、話が抽象的だったり、納得できない論理展開だったりする。それでは「袴屋の白袴」ではないか。当書の説明は、「Aをして、それからBをする。だからCになる」と具体的で、自分でイメージを組み立てやすい。たとえば、ナレッジマイニングの手法などは「パッケージを見比べなさい」などの言葉で置き換えているマーケティング書物も多数存在する。しかし、当書は「店頭に並ぶ商品のパッケージに書かれていることをリストにして・・・」など具体的だ。

マーケティングはトレンドを作るものだ、という人もいる。当書でも、「潜在的な消費者のニーズを拾い起こす」という点で近いものを感じた。しかし、より消費者よりだし、リサーチを重視している。消費者が何を求めるか、マーケティング部の人間は把握していなければならない。消費者についての専門家でなければならないと説いている。僕もマーケティング戦略策定の中で、大切なことは消費者の気持ち・求めることだと思っている。結局、マーケティングは消費者に始まり、消費者のためにある部分だと思う。そして、その消費者の動向を製品やサービスに生かす。これができるのは、営業や広報ではなく、マーケッターなのだと確信している。もちろん、消費者の理解は単なる感情的な理解だけではない。数値的な理解が必要だと思う。何をどうどうやって消費者に伝えるか。その答えを出すには、数値的な理解に加えて、自分もひとりの消費者であるという自覚、それを通しての感情的な理解が必要だろう。だから、納得できるように便益を説明しなさい、と当書は熱く語っているのだ。まさにその思いは、マーケッター全員に認識しなければならない。僕自身も心からそう考える。