ジョニー・ヤコブセン「ライス&カリー」 インド的な音楽 ドクターボンベイ

ジョニー・ヤコブセン「ライス&カリー」 インド的な音楽


日本では、ジョニー・ヤコブセンより、架空のインド人ドライバー『ドクター・ボンベイ(Dr. Bombay)』というアーティストネームで知られている。というのも、うそではなく、適当な世界観を音楽で表現する遊びがウケたからだ。

その中で、今回は「ライス&カリー」というアルバムについてご紹介。

紹介は、シン=アルマダ さんがしてくれます。

まずタイトル。「ライス&カリー」。これを見た途端、何なんだこりゃぁ、と思ったよ。しかも、それを歌うのが胡散臭いインド人らしき人。うおっ! 濃すぎる! そう思ったね、私は。

外見の胡散臭さに惹かれた私、スペインの一航海士は、視聴コーナーのヘッドホンを手に取り、電源を入れましたわ。CDがウィンウィン回っている間、ジャケットの裏を見てみると、この怪しきインド人たら、ジャングルの中飛び跳ねてらっしゃるのよ。怪しい、怪しい。しかしね、被ってる帽子欲しくなっちゃった、格好いいんだもん。

しかし、中に入っている曲を聴いてみて、思わず口ずさんだね。何人か俺の方振り向いたけど、気にしなかったよ。いいよ、すっごく、これ。

まず、全体のバランスがいいね。この人物と同様に、全ての曲が胡散臭い。曲というよりは、声の方やね、胡散臭いの。それがまた、いい感じなんだよ。曲調は全体的にコミカルなものが多くって、頭の中に色々な想像が膨らんで来るんだよ。

特に良いのが五曲目「SAFARI」。曲の最初にドクター=ボンベイのラップ調の歌が入るんだけど、これがなぜだか悲しい気持ちにさせるんだ。しかも、間奏がいい。日本で流行っている曲のほとんどが、サビ以外はとても聴くに値しない曲ばかりなのに対して、これは違う。何だか、本当に静かなジャングルをイメージさせるような間奏なんだ。

それに四曲め「ライス&カリー」もいい。相変わらずにドクター=ボンベイの胡散臭いラップ調の歌に、楽しい気分にさせるコミカルな曲だ。そして、これも間奏がいい。食べたカレーが辛すぎて、壊れたブリキ人形のように忙しく動いている人を想像させるよ。これは楽しい曲だよ。

あと九曲目の「グリル グリル」、十曲目の「MY SITAR」もいいね。これも胡散臭いよ、かなりね。

これは「胡散臭い」の一言に尽きるCDだね。ただ「胡散臭い」。しかし、パワーがある。いや、パワーよりも魅力だね。聴かせる魅力があるんだよ。だいたい、俺は魅力のある、何か惹きつけるようなものじゃないと、人の創作したものに対して金を使おう、とは思わない。

今の日本のヒットチャートを見ると、どれもが売れる理由が分かるんだよね。「カラオケで使えそうだから」……これだね、まったくもって。そこには、自分の感性による選択の余地がないね。

これは感性が低い証拠でもあるんだ。感性が鋭ければ、そんなバカげた理由の曲がランクインすることはなくて、ただその曲の質で売り上げが決まるものなんだが、今の日本はまるで違う。

こんなだから、北野武が外国の賞を受けてから、日本でも監督として注目されるようになったんだ。これは本当に情けないことだ、と思わなければいけない。なぜなら、国民全体の感性の無さを証明しているものなのだからねえ?