ネット炎上の元祖?タカラの「ギコ猫」商標登録事件

さかのぼること、15年ほど前、2002年の話。このころから、ネット炎上は存在した。そして、その勢いは凄かった。今でこそ、Twitterなどで、タレントや政治家、企業の微妙な発言などがたたかれて、タレントやや政治家、企業が謝罪するという動きはポピュラーになったが、それはこの「ギコ猫」商標登録事件からかもしれない。

「ギコ猫」商標登録事件のあらすじ

2ちゃんねるで、いろいろな場所に登場していたアスキーアート。その代表格であったのが、ギコ猫であった。このギコ猫を、玩具メーカーのタカラが、2002年に商標登録をして、おもちゃなどを作ろうとしたことから、事件は起きる。
*アスキーアートとは、Ascii文字で制作された図やイラストなどのArtのこと。

この商標登録が発覚して、2ちゃんねるの掲示板に、「【商標】『ギコ猫』はタカラの猫?【申請中】」というスレッド、掲示板が立てられた。2ちゃんねるのユーザー(2ちゃんねらー)は激怒した。そして、猛然と抗議運動の形として、大量の書き込みが発生した。今のTwitter大量投下みたいなかんじ。1分間に50件の書き込み投稿がされるほどの勢いだった。

2日後、この反応を受けて、タカラ社は、タカラのホームページに「商標出願取下のお知らせ」を表示。そして、謝罪。ギコ猫の商標登録出願の撤回と謝罪により、この事件の騒動は幕を下ろした。

なぜ、2ちゃんねらーは怒ったのか?

彼らが怒った理由は、ユーザ自身の手によって育てられてきたキャラクターを、タカラ社がタカラの商品にしようとした行為が泥棒のように感じられたからだ。

なぜ、タカラは、商標登録出願を取り下げたのか?

ギコ猫事件が表立って大騒動になり、企業ブランドに傷がつくことを恐れたからだ。しかし、それほどの力を、2002年当時のネットメディア、しかも2ちゃんねるが持っていたのだろうか。

当時の2ちゃんねるは、1日あたり、1,600万ページビューのアクセスがあったそうだ。この数字。2017年の今のメディアと比較すると、美人時計、GameWith、pixiv、CNET Japanクラスに値する。ちなみに、2013年のPVデータを出すと。。。

Yahoo!JAPAN     85億9,000万PV
Yahoo!検索     73億2,000万PV
Google日本     47億1,000万PV
楽天市場     33億1,000万PV
Facebook     24億9,000万PV
Youtube     17億3,000万PV
Amazon     13億9,000万PV
食べログ     5億6,800万PV
ニコニコ動画     5億4,200万PV
@nifty     4億9,100万PV
佐川急便     4億6,300万PV
pixiv     4億2,900万PV
ウィキペディア     4億2,200万PV
COOKPAD     3億7,200万PV
mixi     3億4,200万PV

参照 LIGブログ
https://liginc.co.jp/web/matome-web/45139

いかに2ちゃんねるが、当時すごいPVだったのかがわかる。これだけの勢いのサイトにたたかれるとなると、マスコミも黙っておらず、TVニュースの報道もすごかった。この影響は大きいと、タカラ社は判断したのだろう。

ネットメディアの強大化の象徴ともいえる事件

当時の私は、表に出なければ、人間は強くなれるんだなと最初感じた。だが、終わってみれば、ネットという世界が強大になったことの象徴であったと強く感じる。

実際、これまでにあれだけ、ネットの人々のエネルギーが発散されたことがあるだろうか。思うに、ほとんどない。その強さを表象したのは今回が初めてではないだろうか。今までも多くの事件が2Chを中心にして起きてきたが、今回は一企業さえも、そのエネルギーの前にはほふられた。ビジネスの基本とは、他者が満足して、自分が満足することだ。
タカラは今回、確かにその基本を逸脱した。自己満足だけで、ギコ猫の商標権を出した。商標提出にはかなりのエネルギーを要するし、お金だってかかっている。それでもなお商標を取り下げるほどの2ちぇんねるの力。

ネットというものの民衆性、そして民衆の強さ。今、よりその力は成長している。