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恋愛小説「ストーカー気分は上々」END

恋愛小説「ストーカー気分は上々」END  午前0時。手術の時間が長い。気が気ではない。あの時、俺がしっかりと手をつかんでいれば、こんなことにはならなかったのに。あの時。俺は、あの瞬間に滑った自分の手が恨めしかった。爪を噛みながら、俺は貧乏揺すりをしていることに気づいた。 京子。始めて京子を見たときから、俺の心は理性をうち破った。最初は、京子のことを一日中考えているだけだった。だが、終いには京子を見 […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」7

恋愛小説「ストーカー気分は上々」7  何分間か登ると、手が疲れ始めていた。握力が無くなってきていることに気づいてはいたが、登らなければいけない。登ることが生きることだったから。登ることが恐怖から逃れるためのすべての方法だったからだ。私は生きたかったのだ。 「さあ、あと少しだ。疲れたか? 」 「ううん、平気。大丈夫だよ」 私は管理人さんの声を聞くと安心した。心から生きている心地がしていた。 時折足が […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」6

恋愛小説「ストーカー気分は上々」6  エレベーターが急に傾いたのだ。悲鳴を上げたまま京子は、俺の方に抱きついてきた。俺は懸命に受け止めようとするが、受け止めようとする俺も後ろの方に引っ張られていく。ドカッという音とともに、後ろに引っ張られることはなくなった。背中をしたたかに打ったようだ。 「だいじょうぶ? 」 京子が俺の顔をのぞき込んできた。京子の心配そうな顔も美しい。俺はつい微笑んでしまった。 […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」5

恋愛小説「ストーカー気分は上々」5 管理人さんは、そうですかっと一言つぶやいただけだった。途端に、無言の世界が広がった。管理人さんが黙ってしまうと、ほとんど何の音も聞こえない。沈黙。私は救われないような気がしてきた。おそらく、管理人さんはこの沈黙を怖れてしゃべっていたのだ。今度は、私がその沈黙を破らないと。そうしないと、なんだか永遠にこのままのような気がする。 「ねえ、管理人さん。猫の名前、どうし […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」4

恋愛小説「ストーカー気分は上々」4  エレベーター待ちをしている京子の後ろ姿。後ろ姿の京子も最高だ。リズムよく整えられたウエーブがかかった髪は、俺の目を引きつけるのに十分すぎるほど十分だった。見ているだけでも、ため息が出そうになる。 「それで、あの猫、名前を何にしようかって思ってるんですけど。聞いてますか? 」 いつの間にか、俺に話しかけていたようだ。俺は自分の世界にハマッてしまっていて、ろくすぽ […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」3

恋愛小説「ストーカー気分は上々」3 「あ、はい、今開けますね。ちょっとだけ待っていて下さいね」 心待ちする。ドアよ、はやく開け。 ドアがキリッと開く。ホンの少しだけ開かれる。ああ、いつも見ていた、あの京子の空間に、とうとう俺は進入するのだ。そう、ピンクの絨毯が弾かれたフローリングの部屋。白い壁紙の貼られた壁には、木村拓哉のポスターが張られている。そして、ブルーのシーツがいつも弾かれている小さいベッ […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」2

恋愛小説「ストーカー気分は上々」2  ラーメン屋に電話をしたが、なかなか来ない。まあ、長くここにいたいので、縁担ぎも兼ねて伸びたラーメンでもいい。それよりも、京子は何を昼御飯に食べるのだろうか?いつものようにお弁当を持っていっているのだろうか。それとも、どこかのお店で同僚と仲良くランチタイムをとっているのだろうか。 そんなことを考えながら、管理人室の窓から玄関を見ていると、誰かが入ってきた。白い制 […]

恋愛小説「ストーカー気分は上々」1

恋愛小説「ストーカー気分は上々」 はじめに この作品は、1999年4月25日に作成された小説です。当時、あまり、世に公開しなかった作品の一部です。この小説作品は、私の小説作品の原点に一番近い、逆転の発想と、天邪鬼精神の塊的な、小説作品です。気持ち悪いと思われます。 作品全体的には、タイトルとマッチして、春っぽいコメディーです。読んだ後、さっぱりとした感覚が残る作品だと思います。一気に読めてしまうテ […]