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友情

青春&友情小説「雨」END

青春&友情小説「雨」END のどの渇きを覚えた。大量に汗をかいているのだから、当たり前のことかも知れない。僕は自動販売機を探し始めた。目の前に架けられている橋の向こう側に、ジュースの自動販機らしきものが見える。黄色い街灯が、降り続ける雨と赤く塗られた自動販売機の存在を浮き彫りにしている。 自動販売機の前で、僕はポケットを探った。200円ぐらいはポケットに突っ込んだままのはずだ。しかし、なかなか手探 […]

青春&友情小説「雨」7

青春&友情小説「雨」7 「もしもし」 僕の無言に拍車をかけるように、男の声が続く。 「もしもし、近藤だろ?」 「ああ」 いつの間に岩崎祐子の電話を取るような仲になったのだろう、加藤は。ビニール傘が大きく揺れて、僕は完全に傘からはみ出してしまった。肩に雨が染み込み、雨は躊躇なく頭に降り注ぐ。鳥肌が立ってきた。 「どうしたんだ?」 「どうしたんだって」 僕はなんと言ったらいいのだろう。結局、結局。個人 […]

青春&友情小説「雨」6

青春&友情小説「雨」6 吊革に必死につかまりながら、僕は外を見ていた。電車のスピードが速すぎて、建物も道も、道を歩く人もじっくり見ることができない。やはり、僕には電車はあわない。やはり、僕は社会にとけ込めない。それが悪いことではないことは十分にわかっている。ただ、普通の人は社会の煩雑さに耐えていくのだ。僕には、それができないだけのこと。それは悪いことではなく、ただ、できる、できないの問題だ。そして […]

青春&友情小説「雨」5

青春&友情小説「雨」5 車体中央に水色のライン。京浜東北線の車両がスピードを落としながら、目の前を走っている。耳に突き刺さる風の音が僕に前を向くように促す。だが、前に立っている男があまりに痛々しい。できることならば、見ないでいたい。まるで現実を突きつけられているような気がする。僕だって、そうなるかも知れない。イヤな仕事、自由も利かない通勤電車。暑くて重いスーツ。僕だって、くたびれたスーツで、重くも […]

時計台の歯車のように働いた 青春&友情小説「雨」4

青春&友情小説「雨」4 去年の夏、僕はやたら忙しかった。時計台の歯車のように働いた。朝8時には出社して夕方17時まで、ずっとアルバイトをしていた。昼休みも20分ぐらいしかなかった。僕のアルバイトは個別指導塾の講師で、立ち仕事。うちの塾では、60分単位で生徒が入れ替わる。だから、午後から来る生徒にとっては最初の授業であっても、こちらから見れば何人目の生徒といった具合なのだ。だが、それでも、生徒に対し […]

青春&友情小説「雨」3

青春&友情小説「雨」3 電車が滑り出したときには、僕は窓から外を見つめ始めていた。目黒に向かうまでに見えるであろうガーデンプレイスを見たかったからだ。少しでも、自分の目で何かを見たかった。見るという自由ぐらい、僕は有しているのだ。その自由を試すかのように、僕は流れていくガーデンプレイスの風景を見続けた。 長方形の建物以外は黒い闇で支配されている。墨汁で塗りつぶされたように、周辺の木々や道路は黒かっ […]

青春&友情小説「雨」2

青春&友情小説「雨」2 新宿駅の4番線ホームから、山手線の電車に乗り込む。終電近いためか、車両はギュウギュウ詰めだった。腕を少し動かすだけで、誰かに当たるほどだ。こんな電車の中では、痴漢行為の意思がなくても、痴漢行為と勘違いされるような状態になってしまう。だから、僕は極力両手、両腕を動かさなかった。勘違いされて騒がれれば、面倒なことになる。まったくやっかいな空間だ。体を動かす自由さえもない。 さら […]

青春&友情小説「雨」1

青春&友情小説「雨」 この小説は、青春もの、友情ものの小説です。男性同士の友情を記した作品で、青春を通して、こうやって友情が育まれる、人間、青年が成長していくという話です。 この小説を書いたきっかけは、人間関係で疲れたときに、人間関係から何を学んだ、何を感じたかと明確にしたかったという思いで、作成したものになります。 青春&友情小説「雨」1 ”しとしと”。なんてイヤな言葉なんだろう。そんなイヤな言 […]