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恋愛

一青 窈(ひとどよう)の「もらい泣き」が冬とリンクする

一青 窈の「もらい泣き」という曲。 冬は、このメロディと声に心を動かされている。一青 窈(ひとどよう)のなんともきれいな歌声で、まるで今にも泣きそうになることすらある。切ないんですよね。なんかしみじみ。 私がこの声に始めて会ったのは、シャノアールという喫茶店だった。ちょうど持っていた文庫本、確か「深夜特急」沢木耕太郎さんの本を読み終えて、帰ろうかと思っていた、そんなときだった。 たまたま一青 窈( […]

堕天使が何かわかった?恋愛小説「堕天使色」END

 膝から僕の重さが去ったせいか、百合が静かに目を覚ました。しかし、百合の目は寝起きの人間の目ではなかった。目がはっきりと開かれていた。しかし、驚きと何かをとらえたような目で僕を見ていた。 「どうした、起きてたのか、ずっと?」 「ううん、すごくいい夢見たの。」 抑揚のない声で寝起きなのはわかるのだが、目つきはまったく反対の事象を指し示している。 「どんな夢?」 「ひょっとしたら、あなたも見てたんじゃ […]

雨の答えは何か?恋愛小説「堕天使色」22

「ニャア。」 突然、僕の胸元で雨助が鳴いた。話しているうちに力が入ってしまい、雨助のことを強く抱きすぎたようだ。 「ゴメンな、雨助。つい、力が入ってしまったよ。百合、俺はそういう人間だ。一つのことに集中すると、こうやってまわりのものが見えなくなっちまう。そんな奴だ。だから、あいもかわらず、兄貴を失った悲しさを忘れられない。そして、好きなものを失うこわさが身に染みついて、この体からそのニオイがとれや […]

兄と百合と・・恋愛小説「堕天使色」21

「うん、じゃあ、私の部屋で話しましょ。そこの階段上がって、右の部屋だから。ドアの所に表札っていうのかなあ、百合の部屋ってあるから。私は何か持って、後から行くから。ね。」 片目をつむりながら、百合は二階に上がるよう僕を促した。その下手なウィンクに僕は笑いと安心を浮かべながら、足を階段の段にあわせて上っていた。木製の階段はキシリキシリと音を出した。  百合の部屋に入り、僕は座るところのないことに気づい […]

店長がこの仕事を選んだ理由・・恋愛小説「堕天使色」20

「それで、この仕事をなぜ?」 「私は君と同じように、人を守ることはできても、守られることに身を任せられるほど勇気がなかった。だから、自然、それに気づいたとき、それを学びたがった。学ぶのにもってこいなのは、愛のあふれる場所に働くことだった。ここは、家族愛に、カップルの愛にと、愛に満ちあふれている場所だ。だから、ここで働きながら、守られ方を身につけようと考えた。そして、いつしか身を任せるという勇気を妻 […]

雛のいる親ツバメのようなその速さ。恋愛小説「堕天使色」19

 夕方、膝に抱いていた雨助が外に出たがっていたので、外に出してやった。雨助の出ていく姿を見たら、自分も急に外に出たくなった。僕は単身、バイクにまたがった。何ともいえないモヤモヤを切り裂くために、僕は急にどこかの静かな海に行きたくなった。海とにらめっこをしたくなった。  雛のいる親ツバメのようなその速さで、僕は南へ、西へと吹かれていった。何かにとりつかれたかのようにスピードを出し、何かを欲しがるかの […]

渡辺美里の音楽をひとりで聴く。恋愛小説「堕天使色」18

 台所に立ち、僕は暇な冷蔵庫からミルクを出した。透明なコップを二つ携え、僕はコタツにゆっくりゆっくりと歩んだ。 「ちょっと、この牛乳。賞味期限だいじょーぶ?」 「あん、だいじょーぶ、だいじょーぶ。この間、雨助も飲んで平気の平左な顔してたから。」 白い液体を透明なコップに注ぎ込む。会話のとぎれた二人だけのこの部屋には、液体の躍動音だけが伝わる。 「話ってなーに?」 「昨日、ユキが話していた俺の話の続 […]

二杯目のプチショコラ。恋愛小説「堕天使色」17

「ああ、俺は・・・。」 「バイトでしょ。」 すばやい百合の言葉。予定を知っていてくれたその言葉が、僕に天使の鐘を響かせた。パアッと聖歌合唱も聞こえる。 「そう、そのとおり。俺はバイト物語なのでーし。ユキはどこぞに行くんだ?」 「ああ、俺か、うんまあ、お前ら見てたら、自分の部屋を探しに行こうかなあと思ったわけだよ。うん。」 自分の言葉を咀嚼しながら、自分で飲み込んでいる。昨日までの、あのかたくなな居 […]