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願い

web小説「願い」END

web小説「願い」END 「残念だなあ。私は、しっかり覚えていたよ。古西尊志。近東高校以来のIQの持ち主。それでいて、クールな人で、女の子と行くような食事の場所のわからない人。こんな程度だけどね。」 「ありがとう、覚えていてくれて。」 「うんうん、仕方がないよ。記憶喪失だったら。」 違う、そうじゃないんだ。俺は、彼女の名前を聞いたときから、瞬間、平林藍への想いを思い出したんだ。青い炎のように熱く、 […]

web小説「願い」13

web小説「願い」13 「ぜんぜーん、気にしないで。それどころか、うれしいぐらいだよ。この町で、一緒に食事ができる人って、あなたぐらいしかいないもの。」 「へー、そうなんだ。」 どうやら、俺は彼女とものすごく親密なようだ。声には聞き覚えがあっても、肝心なことに、彼女が誰であるかということの認証がなされていない。俺は何度となく記憶の記念アルバムをヒモ解こうとするのだが、なかなかうまくいかない。そうす […]

web小説「願い」12

web小説「願い」12 「自分の過去に対峙する気なのね。わかったわ。でも、いい?あなたはあくまで、まだ体が本調子じゃないのよ。それだけは頭に入れておいてね。」 確かに、俺の体はまだ本調子ではないだろう。だが、偽物を一刻も早く卒業したい。俺な俺に戻りたい。だから、退院をして、外にある事実をかき集めるのだ。 以前、香美ちゃんがしておいてくれた荷物整理が役に立ち、俺の退院準備はものの30分とかからなかっ […]

web小説「願い」11

web小説「願い」11 俺は舌を少しだけ出して、唇をなめた。タバコが欲しくなったのだ。屋上に行こうと思い、俺はベットを立った。 「そうね、でも、香美のことを考えて嘘をついたんじゃないよ。私は私のことだけを考えただけ。吉川に、私もふられたの。吉川、香美のことが好きになったんだって。それで、香美があなたとくっつけば、その想いも消えて、私のところに、吉川が戻ってくるんじゃないかって。本当に、三文芝居だよ […]

web小説「願い」10

web小説「願い」10 吉川は拳を握ったままだ。近藤さんはドアに寄りかかり、こっちを真剣に見ている。俺は空を背景に、もう一度横隔膜を上げた。 「でなあ、思い出したよ。俺がこいつが吸い出した理由を。こいつの忘却作用に頼って吸い出したんだよ。何を忘れようとしたのかは、思い出せない。だが、吉川は知っているはずだよな。吉川、お前が俺を突き落としたわけに関連しているんだろ?吉川。」 最後に怒鳴った。大口から […]

web小説「願い」9

web小説「願い」9 「当たり前でしょ、奥さんよ、私は。」 二人は見つめ合い、永遠のような今、笑った。おかしいのでも、面白いのでもない。二人が二人でいることがたまらなくって、笑ったのだ。香美ちゃんの後ろに見える曇りがちな空は、妙に重々しかったのが気がかりだった。 「今日の午後には退院だって。だから、部屋の片づけをしておいてくださいって。近藤さんがさっき来て言ってたよ。だから、古西君は着替えてさあ、 […]

web小説「願い」8

web小説「願い」8 「なんともないといいが。」 何かあったら、大変なのはこっちだ。そう簡単に何かあってたまるものか。 俺は寝返りを打つフリをして、みんなのいる方とは反対の方に顔を向けた。 「みんな、来てたのね?いらっしゃい。さて、古西君は寝てるのかな?」 今度は近藤さんが来たようだ。 「ええ。」 事務的に恵子が答えた。 「それじゃあ、起こしてくれる?検査の結果、ちょっとはやいけど出たのよ。」 検 […]

web小説「願い」7

web小説「願い」7 「え、ここ?吉川コーポレーションの病室よ。」 「はい?吉川コーポ、ですか?」 俺は耳を疑った。確か、俺は吉川に階段から突き落とされて、それから、救急車が来ていたような音を聞いたんだが。まさか、吉川のオヤジが経営しているところに連れていかれるとは。 「ええ、吉川コーポレーションです。あなたは確か、幸広さんのお友達でしたよね。えーと、幸広さんを呼びますか。」 「いや、いいです。も […]