山形県蔵王ですべる-蔵王旅行記3

 

山形県蔵王ですべる-蔵王旅行記3

  スキーウェアーに着替え、私たちはいよいよゲレンデに出ることになった。朝のゲレンデは人が出ていないために、実に滑りやすい。もしも、頂上からスキー板一本を滑らせても、誰にも当たらずに、下まで滑ってしまうのではないか。そんな感じだ。

 今回のスキーに当たって、身を削る思いで、スキー板を買ってきていた私は、NEWのスキー板を雪面に倒した。そして、これまた新しいブーツを履き、がちゃっという音とともに装着させた。うーん、新品はエクセレント。白鳥が飛び立つように、足をフワーと上げては下げて、ぱたぱたとスキー板の重さを感じてみた。すると、ユージという友人が、シコでもふんでるのか?と尋ねてきた。フンと鼻で笑い、私は前を向いて、歩き出した。

 蔵王のゲレンデは、やや面倒くさかった。斜面のところに行くまでに、一度、ゴンドラで行かねばならないのだ。一度スキー板を着けると、私はスキー板をはずすのがあまり好きではないので、このゴンドラには辟易させられた。

 だが、ゴンドラを下りた地点の光景は、絶景以上の何ものでもなかった。吹雪いた雪が周りの山々への視界をうっすらと閉ざし、わずかに射し込む日の光が近くの斜面に光沢を与える。スキーを忘れて、私は周りを眺め続けていた。まるで、登山に来たかのように、私はただ頂上に来ただけで、満足しきってしまった。

 だが、ゴンドラから下りてくる後続の人に押されて、私は止む終えずに、そこを離れることにした。

 久しぶりに斜面を見ると、急な斜面でもないのに、なぜかしら急に見えることがある。私の場合、これがひどく強い。ゴンドラで着いた地点から下りようと意気込んだはいいが、急に恐くなってしまった。周りの友人が続々と下りていく中、スキー経験のあまりないエロ右衛門につきそうということを口実に、私は滑り降りることを躊躇していた。だが、エロ右衛門が降りたので、さすがに止まってばかりはいられない。怖がる腰を前につきだして、へっぴり腰の私は滑り出す。奇声は上げないように意識して滑るが、雪をも溶かすスピードへの恐怖で、そんなことはいっていられなくなる。ああ、もう我慢できない。と思った瞬間に、私の体は、ハの字を広げだした。体が減速の術を覚えていたらしく、急激にスピードが遅くなる。私は体に助けられ、奇声を上げずに済み、なんとかメンツを保つことができた。

 はてさて、こんなダメスキーヤーはどうなるのか。

 はてさて、この後どうなることやら。